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   夫婦とWanのお気楽山旅    
  戸隠高原 2006年6月2日(金)
天気:曇り
メンバー:夫婦+Wan


■コース■

戸隠中社10:25→鏡池12:00〜13:00→隋神門14:20→奥社14:50→奥社入口15:30〜15:40→戸隠中社16:05

【歩程3時間30分、所要5時間40分】



         
 久しぶりに袈裟丸山にツツジを見にいく計画を立て、準備万端整えていたが、前日夕方の天気予報がよくない。それで天気のいい長野方面に急遽行先を変え、戸隠近辺を歩くことにしました。

 アプローチが長いので、4時起床。のんびり走って10時に戸隠中社の駐車場に着きました。ここには100台ほど停まれる広い無料駐車場があるが、金曜日のためか車は数台しか停まっていません。

戸隠中社

 まずは中社をお参りし、1日目は鏡池から奥社を参拝して、戸隠牧場まで周回してくる予定です。

 しかし鏡池へ行く道の入口がよくわからない。中社付近にはハイキング用の道標がまったくない。土産物屋で道を訊いて、中社とは反対側の観光会館の前の頼りない道に入る。

 すぐにしっかりした遊歩道になりほっとしました。戸隠中社の僧侶のものらしい苔むした古い墓標や道祖神が道際に並んでいます。

 やがて右側にせせらぎの流れる気持のいい道になり、これをすこし辿ると小鳥ヶ池に出ました。農業用の小さな人造湖だが、静まりかえった水面に戸隠の山並を映したいい雰囲気の場所です。野鳥が多く、近くの梢でホオジロが囀り、ウグイス、カッコウ、ホトトギスなどの鳴き声も聞こえる。カッコウの声を聞くと、高原にいるという気持になります。

 遊歩道に戻ってさらにすこし進むと明るい小さな切り開き出ました。もうレンゲツツジが咲きはじめている。たらの木がありそうな場所だがと探していたら、ワラビがたくさん出ている。さっそくワラビ狩りに興じ、ちょっとの間にかなりの収穫になりました。家内はご機嫌です。

 新緑のカラマツ林の中に道は緩やかに続いており、森の中にはムシカリが、路傍にはタチツボスミレによく似た紅紫色のスミレが群生している。これは帰宅後図鑑を調べて、オオタチツボスミレであることがわかりました。とにかく路傍のいたるところにスミレが群生して、見事です。スダヤクシュの地味な花もあちこちに咲いている。気温が上がって、ハルゼミが鳴きはじめた。ハルゼミの声を聞くと、山ももう初夏だなという気持になります。どこかでコマドリが鳴いている。

オオタチツボスミレ スダヤクシュ

 そのうち、付近のヤブの中にたらの木を見つけました。たらの木は日当りのいい場所に生えると思っていたが、疎林の中のあちこちに生えています。のんびりたらの芽を採りながら歩く。こちらもかなりの収穫になりました。

 こんなふうに遊びながら歩いていたら、1時間の歩程の鏡池まで1時間半かかってしまいました。

 鏡池もあまり大きな池ではないが、静かな水面の向こうには戸隠山のギザギザの岩の稜線が聳え、絶好の観光ポイントであり、撮影ポイントです。50台ほども停められる大きな駐車場が完備し、売店とトイレが2箇所ある。それだけ人が来るということなのでしょうが、今は数人の観光客が景色を眺めているだけでいたって静かです。


 思わずゆっくりしたくなる場所で、池のほとりの草地で昼食にしました。空気が濁って山がすっきり見えないのが残念です。車中泊には絶好の場所なので、今夜はここに泊まることに決めました。

 昼食後、奥社参道の隋神門につづく道に入る。流れに沿った道にはニリンソウが群生し、オオタチツボスミレもあいかわらず多い。こんなに見事なニリンソウの群生を見たのは初めてです。戸隠高原は野鳥と花が実にいい。ところどころにミズバショウもあるが、もうきれいな花はほとんどない。独特の姿をしたクルマバツクバネソウもかなり咲いています。エンレイソウはもう実になっていた。

ニリンソウ クルマバツクバネソウ

 天命稲荷神社の先で道が二分しているので、右手の植物園の方に入ってみました。森の中に木道が続き、小さな湿原にミズバショウやリュウキンカが咲いています。森の中ではキビタキやカッコウ、アカゲラが鳴いている。人はほとんどいません。進むにつれてときどき観光客やバードウォッチャーと行き会うようになりましたが、どこまで行っても森は静かです。

ミズバショウ

隋神門脇のイヌキン看板

隋神門

奥社参道
 髄神門方面への道からあまり離れないように、途中でミズバショウ園地方面に曲がりました。大きな湿地ではまだすこしミズバショウの群生が楽しめました。大きなレンズをつけたカメラを三脚につけたカメラマンが野鳥の姿をねらっています。

 ミズバショウ園地を抜けると普通の道になり、アズマイチゲの小さな群生を見ながら進むと隋神門の脇に出ました。

 ふと見ると、イヌキン看板があります。以前、戸隠植物園にはイヌキン看板が立っているということを聞いたことがあるが、この看板のことかもしれません。しかし禁止の理由や根拠も、禁止ゾーンの表示も、看板設置者の名前も、問い合わせ先も記載されていない、典型的な無責任看板です。ここまでどこにもイヌキン看板が立っていなかったので平気で歩いてきたのだが、本気でイヌキンをしようと思うなら、あらゆる入口にもっと利用者の理解できるような責任ある看板を立てるべきでしょう。とりあえずおまじないのように看板を立ててあるだけ、という印象でしたが、こういう無責任なイヌキン看板が犬は自然環境に悪影響を及ぼすという誤解や偏見を広める元凶なのです。

 隋神門は奥社参道のちょうど中間あたりに建っている、古い丹塗りの山門で、萱葺き屋根の上にはヤマドリゼンマイがびっしり葉を広げて、なんとも重々しい時間の流れを感じさせる建物です。鏡池から休まず歩いてきたのでここで小休止。

 あいかわらず付近にはニリンソウが多い。サンカヨウも清楚な花を咲かせていました。トガクシショウマが咲いていないかと探しながら歩いてきたが、どこにも見えなかった。

 奥社参道には巨大な杉の並木が続いていて、霊域の雰囲気が濃い。ウィークデイのため、長大な参道にはほとんど人の姿はありません。参道の脇の流れのどこかでミソサザイが鳴き、森の奥ではジュウイチが鳴いています。

 杉並木が切れると石段になり、勾配のきつい道を登りつめると奥社に辿りつきました。戸隠山の岩の稜線はもうすぐ目の上です。20年ほど前の秋、奥社の左手から戸隠山の登山道を辿ったことを懐かしく思い出しました。近くでオオルリが鳴いている。

 山菜を採ったり花に見とれたりとのんびりしたのでもう3時近い。戸隠牧場まで行くと時間が遅くなるので、奥社をお参りして中社に引き返すことにしました。

 国道まで、長い長い参道を下る。あいかわらずニリンソウがよく咲いている道だが、路面が固いので歩いているうちに疲れてきます。

 参道の出口まで行くと、ここにも隋神門の脇と同じイヌキン看板が立っていました。近くには大きな駐車場があるから、犬を連れた観光客が入ってくることが多いのかもしれません。しかし森林学習館に至る舗装路がイヌキンにされているのを見ると、このイヌキン、何が目的なのかよくわからなくなります。車も通れる道なのだから、犬を連れて歩く場合の注意事項や禁止ゾーンの記載をしておけばいいだけの話で、なんでもかんでもイヌキンにすればいいというのは管理者の過剰な管理権の濫用(観光客から苦情がきた場合のプロテクト?)だとしか思えなくなります。

 参道歩きですっかり疲れたので、ここで小休止をして、越水ヶ原を通って中社に戻りました。

 越水ヶ原を抜ける道は信濃路自然歩道になっているが、歩く人はほとんどいないらしく、道は落ち葉に埋まっていました。路傍にカタクリが咲いていた。途中でコシアブラの木を見つけ、もうだいぶ葉が展開していたがまだ食べられそうなのですこしいただく。

 人けのない越水ヶ原を30分ほど歩くと戸隠中社の駐車場に出ました。あいかわらず車は数台しか停まっていない。

 帰り支度をしていたら同年輩の男性が近づいてきて、ちょっと立ち話になりました。横浜からきた人で、この日は飯綱山を西登山道から登り、南登山道を下ってバスで中社に戻ってきたが、どうという山ではなかったという。明日は高妻山、明後日は黒姫山に登るという。ほとんど病気ですね、というから、われわれも毎週山を歩いているから同様です、と笑った。今夜はこの駐車場で車中泊をするという。われわれは鏡池で泊まる予定だというと、もう一杯やってしまったので移動ができない、一緒に泊まりそうな人がいて心強かったのにと残念がっていました。

 戸隠神告げ温泉で入浴し、鏡池に戻る。まだ観光客が数組いました。

 戸隠の稜線に日が落ちる豪勢な景色を楽しみながら、湖畔の草地でヤキニクの夕食を楽しみました。なんとも幸せなひとときで、こういう体験は日帰り山行や普通の観光旅行では絶対に味わえません。

 やがて観光客もみんな帰っていき、誰もいなくなった。跡片付けをして、奥の大駐車場に移動しようとしていたら、軽自動車の若者がやってきた。彼は湖畔の駐車スペースに車を停め、車中泊をしたようです。われわれは誰もいない大駐車場で静かな一夜を過ごしました。

目次 コースガイド



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